営業を天職だと語る父に憧れ、子どもの頃から「働くのなら営業になりたい」と考えていました。父が大切にしていたのは、お客様との親密なコミュニケーション。父のような営業スタイルで、多くのお客様と、ビジネスライクではない信頼関係を築きたいと思ったんです。就職活動の軸にしていたのは、「自社製品に強みを持つ企業で働きたい」という想い。説明会で、アルパインの主力製品であるカーナビに初めて触れたときの驚きは忘れられません。

美しい映像やサウンドへのこだわりに深い感銘を受け、「こんなに素晴らしい商品なら、自信を持ってお客様におすすめできる！」と確信。入社を決意しました。当社の新入社員は、まずはエリアに配属され、カー用品店やカーディーラーでのマーケティング活動を経験します。

今、振り返ってみると、入社から半年間のエリアマーケッター時代には、悔しい思い出が多いですね。カー用品店のスタッフとコミュニケーションを取ろうとしても、先輩のように、自然に本音を引き出すことができず、いつも力不足を感じていました。次に配属されたのはグローバル事業推進部。趣味で勉強していた英語を用いて、海外支社と相談しながら、販売計画と生産計画を立てていました。入社2年目を迎える頃、市販マーケティンググループに異動になり、自社ECサイト「アルパインストア」の運営を担当することに。「営業がやりたい！」と意気込んで入社した私にとって、ECサイトは未知の領域でした。どんな仕事をするのか、まったくイメージできませんでしたが、新しい経験ができることにワクワクしたのを覚えています。

ECサイト「アルパインストア」は、エンドユーザーと直接つながることができる貴重な場です。現在は4人のチームで運営されており、私はその中で、お客様へのアンケートを実施し、得られた回答をコンテンツに反映するなど、「お客様の声」をベースにした業務を担当しています。

配属されて間もない頃、当時、販売に苦戦していたドライブレコーダーの拡販を任されました。経験が浅いにも関わらず重要な案件を任され、驚きましたが、チャンスを与えてもらった喜びの方が大きかったですね。

まずは、お客様がドライブレコーダーに何を求めているのか、知る必要があると考え、よく購入されているドライブレコーダーの特徴を分析するところから始めました。その結果、「録画した映像をすぐに確認したい」というニーズがあると判明。特別販売ページを設け、スマートフォンで手軽に映像を確認できる機能をアピールしたところ、順調に販売数が伸びていったんです。

当社の根幹にある「お客様がすべての出発点」という考え方を実践し、数字に表れる貢献ができた、私にとってのターニングポイントでした。そんな成功体験から1年が経った今、「アルパインストア」内には、私が手掛けたコンテンツがいくつも掲載されています。お客様から、アンケートへの回答に添えて「こんな商品を待っていました！」といったお言葉をいただけたときの手応えは格別です。

私の課題は、「お客様のニーズにダイレクトに刺さる発信をする」力が弱いこと。ドライブレコーダーの特別販売ページを制作したときも、何度も先輩に助けてもらいました。当初、私が考案したキャッチコピーは、「スマートフォンと連動できる」ことを打ち出したものだったんです。

しかし、先輩から「重要なのは、スマートフォンと連動できることではなく、スマートフォンと連動して何ができるかだよね」と指摘を受け、「手軽に映像を確認できる」ことをアピールするキャッチコピーに変更。先輩のアドバイスがなければ、この特別販売ページの成功はなかったと思います。

今後、「アルパインストア」は、市販マーケティンググループの新たな柱となることを期待されており、それを実現するには、4人の運営メンバー一人ひとりの生産性を上げる必要があります。私が完全にひとり立ちできれば、先輩が自由に動けるようになり、ECストア事業のスピード感は格段にアップするでしょう。一歩一歩、着実に成長するために、先入観を取り払い、お客様は何を求めているのか、さまざまな角度から知る努力を継続したいと考えています。
実は、社会人になるまでは、働く上での原動力になるのは、上司や先輩、同僚からの評価だと考えていました。社会人3年目となった今は、「お客様の声」こそが、最大の原動力だと胸を張って言えます。「お客様がすべての出発点」という考え方を体現し、お客様に喜んでいただける経験を、これからも積み重ねていきたいですね。