アルパイン ブランドストーリーアルパイン ブランドストーリー
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品質管理は、
準備の科学だ。

世界有数の品質管理システムを

2023.07.07

​​​​​​​より過酷な環境を求めて、走れ。

福島県いわき市郊外、かつてここでは不思議な情景があった。時には湿気を含んだ海風が吹き込む夏の海辺、時には凍えるような寒風が吹く冬の日、さらには未舗装の荒れた道路…。こんな日は、あるいはこんな道は、運転したくないと誰もが思う状況の中で、同じ所を何度も行ったり来たりするクルマがあった。

 

暑い日もクーラーを付けず、寒い日もヒーターを付けず、荒れた道の振動に耐えながら、それでもハンドルを握って走り続けているドライバーがいた。アルパインのエンジニアたちである。彼らは、開発した製品の試作機や完成品をクルマに装着し、敢えて過酷な条件で使用することによって自ら不具合を引き出そうとテストをしていたのである。

 

アルパインには「品質は開発段階でつくられる」という古くからのモットーがある。1980年代初頭、マグナム事件として語り継がれている一件のこともあるが、それにもまして品質がもっとも重要な性能のひとつだという考えが社員一人ひとりの意識に染みこんでいるのだ。

 

だからこそ、アルパインのエンジニアは、より過酷な条件を求めて走り続けていたのである。

状況が過酷であればあるほど、通常では得られないデータが得られる。見過ごされていた不具合も顕著に現れる。どんなに汗をかこうが、どんなに凍えようが、それが製品の信頼性を上げていくのだと思えば、アルパインのエンジニアにとって、それは喜びをともなう仕事であった。

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実車状態を再現できる環境を、敷地内に。

過酷な状況に身を投じて品質の向上を追求し続けてきたエンジニアたち。その思いがひとつのカタチになったのは1996年10月のことである。30億円という巨費を投じてアルパイン総合評価センターが完成した。

 

カーオーディオメーカーとしては世界的にも類を見ない設備を備えたこの施設の象徴とも言えるのが、全長1027mを誇る周回テストコースだ。約1キロのコースには、280mの直線コースをはじめとして、連続するバンプやキャッツアイと呼ばれる突起、ヨーロッパの石畳を模した路面、段差路、波状路など、15種類にもおよぶ悪路が国際規格をベースに再現されている。さらには、連続走行コースやバンクを備えた高速路、コーナリング横Gの試験も可能である。かつてエンジニアたちが、いわきの郊外を探し回って見つけた貴重な悪路が、そこに整然と用意された。

 

さらにここには、テストコースでさえ再現が難しい環境を車載状態で検証するいくつもの施設が設けられている。

 

シャーシダイナモを装備した音響実験室では、走行状態でのロードノイズやエンジンノイズをシミュレートしながらオーディオの音響特性の測定が可能なほか、車速パルスの測定もできカーナビの自立航法精度の向上にも寄与している。また、各方向から自在に光を当てディスプレイの反射や見やすさを確認するライティング室、外界からの電波を遮断し、ラジオやテレビの受信感度やナビへの妨害波影響確認も可能な電波暗室など、実際に車載でしか確認できないさまざまな検証を行う施設が完備されている。

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製品そのものの品質を、突き詰める。

製品単体を評価する試験は、さらに過酷を極める。たとえば、振動を与えながら−40℃から+85℃まで変化させたり、スイッチやボタン、DVDの出し入れを数万回にわたって繰り返したり…。なかには、製品輸送用の段ボールに箱詰めされた状態での落下試験機まであるのだ。

 

振動、温度、湿度、落下等々、現場を想定した、あるいは現実にはあり得ないような物理的な負荷を長時間にわたって加えていく。そうして本来なら何年もかかって到達する劣化を数ヶ月で再現するのである。

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すべての現実を次の製品に活かしていく。

アルパインの総合評価センターは、製品の不具合や欠点を引き出すことに関して、世界的にもトップレベルの設備だ。だがアルパインの開発スタッフは、個々で得られる結果がすべてではないと思っている。

 

もうひとつ大切なこと、それは実際にユーザーの使用現場で起きる不具合である。

およそ想像できるすべての状況をシミュレートし万全を期して送り出しても、実際に使用される現場からは、その想定を越えたさまざまな実例が上がってくる。

そのひとつひとつを実際に検証し、原因を追及することで、さらに次の改良に活かしていく。その時、どんなに緻密なシミュレーションも、現実には及ばないことがあることを知るのである。お客様の生活のストーリーの中にこそ、品質改善の大きなヒントがあるのだ。

 

かつて品質保証の責任者が言った。「品質管理は準備の科学だ」と。あらゆる検証を重ねて、多くの人々に見送られて、ここからまた新しいアルパインの製品が産声を上げていく…。

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