ALPINEの名と、
ともに。
ファイブ・ストライプスに込めた想い
アルプス・モトローラから、アルパインへ。
消費者が企業ブランドを認識する上で欠かせないのが、コーポレートロゴマークだ。このコーポレートロゴマークには、企業の理念や個性、ビジョンなどがその形の中に表現されている。もちろんアルパインも同じだ。アルパインの場合、特に象徴的なのが「ALPINE」の表記の左側でロゴに個性をもたらしている5本の線。ファイブ・ストライプスと呼ばれるこの5本線には、ひとつひとつに意味がある。これまでも、これからも、アルパインの変わらぬ使命が、そこには表現されている。
ファイブ・ストライプスは、最初からALPINEのロゴにデザインされていた訳ではなかった。実はそもそもアルパインというブランドも、創業時から存在していた訳ではない。ALPINEのロゴにまつわるこのストーリーは、創業した1967年まで時代を遡ってお伝えする必要があるだろう。
1967年、アルプス電気と米国・モトローラ社との合弁会社として「アルプス・モトローラ株式会社」が誕生した。これがいまのアルパインの母体となった会社である。このアルプス・モトローラ時代は8トラックプレイヤーやカーラジオ用チューナーなど、当時としては先進的な製品を生産していたが、合弁会社であることが要因で経営が常に不安定な状態に陥っていた。やがてアルプス電気は独立構想を持つようになったのだが、その準備段階において、のちに社長となる石黒征三の友人が新しい社名を提案してくれたのである。高い山々が連なるアルプス山脈を意味する「ALPINE」はどうか、と。最高峰4810mのモンブラン、そしてアルプス山脈はヨーロッパの多くの河川の水源地でもある。独立した後は、自社ブランドを世界の高みにまで育てていきたい、という石黒の想いと言葉の意味が合致し、ALPINEという名が独立構想に取り入れられることになった。
アルパインブランド誕生により、コーポレートロゴを設定。
こうして生まれたALPINEの名は、実は独立する少し前から製品に付けられていた。とはいえまだこの頃はブランドに対する認識や管理が今ほど徹底しておらず、「ALPINE」のほかに「Alpine」という表記で出荷されていく製品もあった。そのような状況の中、1978年にアルプス・モトローラの合弁を解消して、ついに「アルパイン株式会社」が誕生。1979年に「ALPINE」表記のコーポレートロゴを制定し、新しいブランドとして羽ばたいていったのである。
ALPINEのブランド名がついた製品は、当時のモータリゼーションの発展とカーエレクトロニクスの進化に呼応するように次々と開発され、のちに名機と呼ばれるような高性能モデルも数多く誕生した。1983年発売のヘッドユニット「7155J」、1990年発売の「Juba」などはその代表例であり、今もカーオーディオファンの間ではアルパインを語る上で欠かせない存在になっている。
積極的に海外展開を始めたのもこの時期で、特に北米を重視した販売戦略を展開してきた。なぜなら当時の米国のカーオーディオ市場は世界一であり、ユーザーレベルも極めて高く、米国でナンバー1になるということは、世界でナンバー1になることを意味していたからである。ここでALPINEのロゴをまとったアルパイン製品は、高い人気と信頼を獲得し、結果グローバル規模で高級ブランドとしての地位を確立していった。
ファイブ・ストライプスの新しいロゴへ。
そして1992年、創業から25年が経ったタイミングで、コーポレートロゴを改訂することになった。25年という歳月の間にアルパインは大きく成長した。当初カーラジオから出発したアルパインのビジネスは、カーAV、そしてカーナビゲーションと広がった。1988年には東証二部に上場し、1990年には連結での売上げ規模が1000億円に達していた(最終的には1991年東証一部上場)。コーポレートロゴには、企業の理念や個性、ビジョンなどが表現されると冒頭で記したが、25年をかけて成長を遂げたアルパインは、ようやく辿り着いた地点からさらに高みを目指すにあたって、コーポレートロゴを見直す必要性があった。そして、この時に正式に採用されたのがファイブ・ストライプスである。
実はファイブ・ストライプスは、アルパインの使命を表現したものとして1987年から使われてきた。東証上場の際の新聞広告にもファイブ・ストライプスのロゴが使われている。それを25周年の機に改めて制定したのである。そこにはアルパインが目指してきた指標が表現されている。これは5つのエクセレンスとも呼ばれる指標で、ロゴの左からその1本1本が、
1)最高の技術
2)最高の製品
3)最高のマーケティング
4)最高のサービス体制
5)最高のパートナー
を意味している。現状に満足することなく、この5つのエクセレンス(指標)において、アルパインは常に“最高”を求めていく。そんな強い意志が込められたロゴマークだった。
ファイブ・ストライプスが入ったロゴは、以降、すべてのアルパイン製品に付けられている。もちろん製品だけではない、製品を梱包するパッケージ、取扱説明書、保証書、広告、製品を展示する什器、イベントブース、封筒、社員が持つ名刺…、そのすべてのブランド活動の傍らにファイブ・ストライプスがある。そして、ひとりひとりの社員がファイブ・ストライプとともに行動している。先人達のたゆまぬ努力によって育まれた技術や精神は、この5つの線のように軌跡となり、未来の人材へと受け継がれていく。これから何年、何十年経っても、アルパインから生まれるモノやコトには、アルパインのオリジンが息づいているに違いない。