ハイレゾについて
ハイレゾフォーマットの特徴は、従来のCDや圧縮音源と比較して、
・人間が聞こえないとされる「超高音域」をカバーしていること
・小さな音から大きな音まで滑らかでシームレスにつながること
の2点です。
(図1)縦軸で表しているのはビット数で、記録できる音の細かさを示しています。
CDの16bitから、ハイレゾでは24bitから最高で32bitまで、可能となっています。
横軸は、サンプリングレートになります。これが高いほど、短い時間間隔でデータを記録しますので、より原音の波形に忠実にデータを記録できます。
CDでは44.1kHzまでですが、ハイレゾでは最大384kHzまで拡大されています。
自然界の滑らかなアナログ波形(図2)をより細かい時間精度とビット数で、より正確にデジタルデータに変換して記録(図3)するため、元のアナログ波形の情報をより多く含んだ記録と再生が実現できます。
この超高音域再生がどんな意味をもつのかバイオリンを例に考えてみましょう。(図4)専用の機器を使って測定すると、バイオリンの音の波形はこのようになっています。(図5)音階となる基音に加え、より高い周波数の成分である「倍音」によって、楽器それぞれの特徴ある音色、例えばバイオリンの音が生まれます。そしてその倍音の高周波成分は人間の耳に聞こえない周波数の領域まで至ることがあります。このため、人間の耳に聞こえないからと言って 高周波成分の倍音をカットすると、(図6)特徴ある音色が弱まり、本来の楽器の音からはかけ離れた音となる可能性が高まります。
ハイレゾ音源は、この倍音成分を人の耳に聞こえない領域まで取り込むことで、本来の楽器の音色を忠実に再現します。特に高い音域の表現力が豊かになり、繊細さと奥行き感が広がります。そして何よりも圧倒的な音圧を持ちながらも、歪みが極小で鮮度の高い音。それがハイレゾの大きな魅力です。
「パーフェクトシンクロ」テクノロジー
ジッターレスとは
カーオーディオでは、設置スペースが狭いため 「ヘッドユニット」と「オーディオ・プロセッサー」を別々のユニットに分けなくてはなりません。
従来のシステムでは、それぞれ別々のクロックでデジタル信号を処理することになるのですがこのユニット間でデジタルデータを通信する際に「ジッター」と呼ばれるわずかな信号のズレが生じてしまいます。これによって音質劣化が発生し、音楽の臨場感を失わせる原因になっていました。現時点でハイレゾ最高SPECである384kHz/32bitを再生するにあたっては、わずかなジッターの影響さえも見逃せない要素となって参ります。そこでAlpineF#1Statusでは、オーディオ・プロセッサーから発振させた精度の高いクロックを「マスタークロック」としてヘッドユニットに送り、それに同期させるというマスタークロック・マネジメントシステムを開発し、搭載しました。この「マスタークロック・マネジメントシステム」を実現させたことでひとつのクロックで完全にデジタル信号をシンクロさせるため、ジッターの発生を限りなく回避することに成功しています。
最高精度の水晶とは
このマスタークロック・マネージメントシステムの心臓部である水晶発振器は、もちろん精度が命。専用開発した世界最高精度「OCXO DuCULoN®」を採用しました。車室内のオーディオチューニングを行う中心機器であるオーディオ・プロセッサーの中央に専用スペースを確保しノイズや温度、振動の影響を受けにくい構造としております。
「OCXO DuCULoN®」は車載用SPECへカスタマイズ。大型の水晶を2個採用して温度補償回路と共に断熱構造をとったケースの中に納められており、通常の水晶発振器の約500倍もの精度を誇ります。さらに発振器自体をヒーター内蔵の専用ケースに格納するという車載初の温度補償機能を備えています。温度変化によるブレ幅0.002%を限りなく0%と安定させるべく電源投入後、ヒーターで加熱され、クロック精度が安定する温度に達すると、その後は温度が一定に保たれます。この業界最高峰のクロック精度を誇る水晶発振器と温度補償機能は、まさに車載最適デバイス。徹底的なこだわりを注ぎました。
到達時間補正とは
どんなに機器の精度や性能にこだわっても、最終的にスピーカーから放たれる音に厳密な配慮をしなければ、すべてがムダになってしまいます。クルマの中の場合、同じチャンネルの高音/中音/低音用の各スピーカーの取付け位置の差による時間差や左右のスピーカーの距離が非対称の為、オーディオ・プロセッサーにてタイミングを合わせるタイムコレクション機能を使います。ハイスペックなハイレゾ音源では、各スピーカーから出る音の正確なチューニング精度も、従来よりシビアに突き詰めていかなくてはなりません。
例えばドライバーから見て左側のスピーカーから出る音と右側のスピーカーから出る音の到達時間のズレが大きい場合と小さい場合では、この概念図の用に合成音で差が出るのです。距離のズレはそれぞれのスピーカーから出る音の波を打ち消し合い「歪み」の原因となり、音質に大きな影響を与えてしまいます。
従来製品では7.2mmステップ(気温20℃)での調整幅でしたが、AlpineF#1Statusのオーディオプロセッサーでは、実に1/8に当たる 0.9mmステップでの調整が可能となりました。ハイレゾが扱える高音域は特に距離感を感じやすいため、このような微細な調整が非常に大切になるわけです。
このように、車内空間では高精度なサウンド・チューニングが必要となります。より正確なサウンド・チューニングを実現するために、最大1GHz/64bitという最高峰の業界最高水準DSP「Griffin UL」を実に4基搭載しました。これは、従来品と比較して10倍以上の処理能力です。これにより、ハイスペックなハイレゾ信号の情報をロスすることなく処理することができます。
CFRPを採用した理由とは
従来はスピーカー・ユニットは各再生帯域のユニットごとに最適な素材と構造を採用することが常識でした。
例えば振動板。薄くすれば軽くなり、高音再生には相応しいのですが、剛性は弱くなる。一方、剛性は形や材料を厚くすれば高くなり、低音の再生には最適となります。こういった特性を踏まえて材質を選び、その欠点を克服し音作りするのがスピーカーの難しいところでした。素材が異なると、再生される音質のキャラクターにも差が出てしまうからです。この課題に対して、AlpineF#1Statusでは、素材と構造を統一することで各ユニットの音色を美しくそろえることに挑戦しました。数えきれない試行錯誤を繰り返し、たどり着いた回答が炭素繊維強化樹脂「CFRP」の採用です。この素材は樹脂に匹敵する軽さとアルミ同等の高剛性により、応答性の良さと非線形の低歪みを両立する連続繊維CFRPを超高域再生のツィーターから超低域再生するサブウーハーまでの振動板素材として使用したのです。
各ユニットに、共通の素材を採用するのはカーオーディオ業界では初の挑戦になります。
その効果としては、各ユニットの再生周波数帯域が従来より広帯域化できたことで各ユニット間のオーバーラップする領域を広めに設定することが可能になったことも挙げられます。例えばミットレンジスピーカーの取付け位置は、従来よりも自由度が高まるなどのメリットが生まれました。取付場所による差をサウンドチューニングにより克服することが容易になったからです。
最高音質への飽くなき挑戦
オペアンプ
オーディオ・プロセッサーの性能、音質を高めるキーデバイスが、オペアンプです。
AlpineF#1Statusの妥協のない音の実現のために、業界最高峰のMUSES05を選定し、サウンドマイスターによって最高の音質に仕上げました。
内部回路の微細な電流変化や、数MHz帯域の高調波がAudio帯域に与える影響により発生する 音質変化に着目し、通常、1チップ当たり2回路で構成されていたものを1回路単独仕様とすることで信号処理の純度を高めました。さらにアンプ回路の各ステージも別回路とし、相互干渉を徹底して排除しています。信号損失を抑える無酸素銅フレームを採用するなど、素材にも徹底的にこだわりました。この高音質オペアンプにより、可聴帯域をはるかに超えカラダで感じる倍音成分を含む再生帯域300kHzまで余分な高調波成分の除去に成功、結果として耳に聞こえる帯域においても、クリアで鮮明、そして透明感あふれる音質を実現しました。